自信がないのは良いことなのかも。未熟であるほど自信満々、ダニング=クルーガー効果とは

先日美容院に行ったとき、担当してくれた美容師さんが興味深い話をしてくれました。

美容専門学校に指導に行くと、どのクラスでも、上手な子よりもそうでない子の方が自信ありげにふるまってる。
実際手を動かしてみて上手なのは、自信のなさそうな子のほう。

確かに、そのお店のアシスタントさんも、控えめな子の方がシャンプー上手なんですよね。
周知の事実かもしれないけれど、話のついでにシャンプーが上手な彼女のことをほめておきました。

(今日の記事には関係ないのですが、「容姿がいい子よりもそうでない子の方が、きれいに見せる美容のテクニックをたくさん持っている」という話もあり、おもしろいなあと思いました。)

こういう現象に何か名前がついていたなあと、ググってみたら、見つかりました。

ダニング=クルーガー効果

ダニング=クルーガー効果とは、コーネル大学のデイヴィッド・ダニング氏とジャスティン・クルーガー氏によって発見された、「あなたが無能なら、あなたは自分が無能であることを知ることはできない」つまり「能力が低い人ほど自信満々な傾向がある」という現象のことです。

二人の研究は、2000年には「人々を笑わせ、そして考えさせてくれる研究」に対して与えられるイグノーベル賞の心理学賞も受賞しています。

2012年に行われた「なぜ能力の低い人間は、自分をすばらしいと思いこむのか」という彼らの調査によると、能力の低い人間には次のような特徴があるそうです。

  • 自身の能力が不足していることを認識できない
  • 自身の不十分さの程度を認識できない
  • 他者の能力を正確に推定できない
  • その能力についての正式な訓練に晒された後であれば、自身の能力の欠如を認識できる。
The trouble with ignorance is that it feels so much like expertise. A leading researcher on the psychology of human wrongness sets us straight.

(↑この記事のタイトルがとても好きです)

能力のある人は、他者の能力について正確に判断できず、必要以上に自分を評価しない

能力のない人は、他者の能力についてはもちろん、自分の能力についても正確に判断できないので、自分を過大評価してしまう。

確かに、思い当たることが少なくありません。

知識が増えるほど減る自信

外国語を学んでいると、初級を越えたくらいで妙な万能感を持つものの、中級を越えたくらいから、あんなに満ち溢れていたはずの自信が徐々に小さくなり、目指す場所までの道のりの果てしなさを実感するようになるのは、そのせいかもしれません。

すごい技術や実績を持っている人ほど、ものすごく謙虚で腰が低いのでこちらの方が恐縮することがよくあるのですが、ダニング=クルーガー効果!そういうことなのか!と腑に落ちました。


ダニング=クルーガー効果のよい面

「あのひとはいつも自信満々だけど、実際の能力は口ほどじゃない」と他人から思われるのは嫌ですが、正しく自己評価できずにいつもクヨクヨしているのもよくありません。

若いときに、根拠のない自信を胸に抱いて、びっくりするような思い切った行動に移せるのは、「未熟な人ほど自信満々」というダニング=クルーガー効果のいい面があらわれているのでしょう。自信って素晴らしい。

うまくいって万能感にあふれているときは、少し冷静になり、「自分が見えていないところはないか」客観的な判断ができる視点を持ちたいものです。

逆に、自信がなくて行動に移せずにいるときは、「これが世に言うダニング=クルーガー効果!私は自信を無くせるほど優秀なのだ!」と自分に言い聞かせてやるのもよいかもしれません。

適切に自分の能力を評価しつつ、「自分ならなんとかやりきれるだろう」という自信も持って、日々を楽しく過ごしていけたらいいなあと思います。