2016年にNHK・ブラタモリで紹介された広島の川を走る雁木タクシー。
テレビでご覧になった方も多いと思います。
幸運にも乗船する機会に恵まれました。
読書会のために来広された越前敏弥さんと、主催の皆さんとご一緒させていただくことに。
予想していた以上に楽しく、住んでいる街の違った一面を見ることができました。
今回利用した、「平和公園~縮景園コース」をご紹介します。
雁木タクシーとは
雁木タクシーとは、NPO法人が運営する水上タクシーです。
「雁木」とは、広島では、階段状の船着き場のことです。水路を使っての舟運が盛んだった江戸時代に多くつくられ、現在でも約400か所の雁木が市内の川のあちこちにあるそう。
単に水辺に降りるための階段なのかと思っていたら、船着き場なのですね。
海に近いので潮の満ち引きがあるため、階段状になっているとのこと。
この雁木を本来の船着き場として活用し、小型ボートを水上タクシーとして運航しているのが「雁木タクシー」。
観光コースをめぐるクルーズとしてももちろん、2㎞(約10分)を500円の乗船料(1名の価格・2名より運航)で、本来のタクシーのように利用することができるそうです。
平和公園を出発
今回利用した「平和公園~縮景園コース」は、平和公園から縮景園までの片道コースです。
定員は6名で、1名あたり料金は1500円(小学生750円)。
縮景園に川側から直接乗り入れることができ、入園料は乗船料に含まれています。
原爆ドームの対岸が乗り場です。
前後左右、体重バランスを考慮しつつ座席に案内され、出発です。
原爆ドームと宮島の2つの世界遺産を結ぶ船とすれ違いました。
産業奨励館であった原爆ドーム、建物の正面は川に面しているのだそう。
相生橋をくぐります。
潮が引いているので水面から橋梁まで十分な高さがありますが、橋脚についている水の跡を見ると、満潮時にはかなり水位が上がるようです。
基町環境護岸
国内でも屈指の美しさを誇る、河川敷公園の人工護岸を川から眺めます。
玉石積みの護岸は、美しさだけではなく、水に落ちた人が這い上がりやすいようにという意図もあるそうです。
鳥の楽園・サギ島
タモリさんも興奮したという、川の中州のサギ島。
人が入れない場所にあるだけに、荒々しい雰囲気を醸し出しています。
子育てのシーズンで、抱卵しているのかヒナを守っているのか、巣でじっとしている親鳥もたくさん見えます。
岸からバードウォッチングしている人もいました。羨ましい。一日見ていても飽きなさそうです。
歴史ある人道橋・工兵橋
京橋川を進むと、先ほどまでの景観とはうって変わって、岸はうっそうとした木々で縁取られます。
新こうへい橋をくぐり、見えてくるのは、旧市内唯一の吊り橋、工兵橋が見えてきます。
この橋は、爆心地から約2.3kmという場所にあったにもかかわらず、爆風と並行に架かっていたため、被害を免れ市民の避難路として使われたのだそうです。
広島駅付近の高層ビルを背景に、おそらくは何十年も変わらない川の風景が広がっています。
川から縮景園へ乗り入れ
新幹線と在来線の鉄道橋、そして常盤橋をくぐり、いよいよ縮景園の雁木に着船します。
お殿様がここから入園することもあったのでしょう。
着船した雁木は数寄屋造りの茶室、明月亭付近にあります。
茅葺が見事。
美術館側からお庭を眺めることはありましたが、じっくり歩いたのは今回が初めてでした。
ちょうどお花の端境期でしたが、初夏の緑がとてもきれいでした。
天気もよく、気持ちのよい船の旅でした。
今回は平和公園から縮景園までのコースで一人1500円でしたが、チャーターすると10000円で自由なコースが組めるそうです。今度県外からのお客さんが来た時には、チャーターで利用してみようかなと思います。お問合せ・予約は雁木タクシーまで。