株取引などで、損を取り返そうと焦って売買をして、結果的にさらに損をしてしまうことを「損の上塗り」という言葉で表します。
同じような意味の慣用句に、「盗人に追い銭」というのもあります。
「盗人に追い銭」エピソード
以前、知人の高齢のご両親が詐欺に遭い、犯人にかなりの金額を払ってしまったということがありました。
しかも、お金を払ったのは一度や二度ではないのです。
ご当人たちが騙されているかもしれないとうすうす気がついた頃に、また別の人間が接触して来て「騙された金を取り戻す方法がある」と話を持ち掛けてきたんだそうです。
藁にもすがる思いでその話に乗ってしまい、そちらにも(レターパックで!!)お金を払ったところ、結局そちらも詐欺だった、という、なんともひどいお話です。
第三者が話を聞くと、「そんなうまい話があるわけがない、騙される方がおかしい」と考えてしまいがちですが、きっと相手はものすごく巧妙に騙してくるのでしょう。
高齢の肉親とは普段からこまめにコンタクトを取って、相談しやすい環境を作っておかないと、と思いました。
「盗人に追い銭」「損の上塗り」を中国語で
中国語にも同じような言い回しがあります。
三国志由来のことわざで、「赔了夫人有折兵」ということばもあります。
呉の孫権が自分の妹をえさに劉備を呼び寄せ殺そうとしたけれども、結局は劉備がまんまと夫人を得て、蜀に戻ってしまったという故事が由来です。
策を弄した結果、かえって損失を招いてしまうという意味で使われます。
他每天加很长的班,结果不但没赚到多少钱,还累坏了身体,真是赔了夫人又折兵。
彼は毎日遅くまで残業していたが、それほど稼ぎもないばかりか身体を壊してしまって、まったく損の上塗りというほかない。
「盗人に追い銭」「損の上塗り」を英語で
英語でも同じような表現があるでしょうか。
Throw good money after bad.
すでに損が出ているビジネスの損失を取り戻そうとして資金をつぎ込み、さらに損をこうむる、といった意味で使われています。まさに「損の上塗り」です。
Throw the helve after the hatchet.
こちらは、やけになって行くところまで行ってしまう、といったニュアンスです。
さらに中国語訳を調べてみると
上のふたつの英語イディオムが、中国語でどう訳されているか調べると、
Throw good money after bad.
赔了夫人又折兵 / 花钱填无底洞(際限なく損失補填しようとする)
Throw the helve after the hatchet.
孤注一掷(一か八かの勝負に出る,のるかそるかの大ばくちをやる)
すこしずつ微妙にずれている、そのズレを確認しながら似た表現を覚えていくのが多言語学習の楽しみです。
いつか「ここぞ!」と言うときにぴったりの表現を使えたらいいなと思って日々学習しています。