仕事が減りません。
仕事がなくなると困りますが、ムダ仕事がどこからか湧いて出てくるのも困りものです。
どこかに仕事を増やす妖怪にとりつかれた人がいるような気がします。
ムダな仕事を振られて一生懸命やっても評価は上がらない
ムダな仕事と分かっていても、与えられた仕事はきちんとやるという人もいます。
以前話題になったこの厚切りジェイソンの話。
「こういう資料を作ってくれる」と言われて、「これは、どこでどうやって使うんですか」と聞いたら、「いや、決まってないけど、まあ念のため」とかね。「嘘だろ! じゃあ作らないよ」って断らなきゃダメ。
(プレジデント・オンライン 2016年8月)
こういう流れで頼まれるムダ仕事の半分は、頼む本人もムダだとわかっている気がするんですよね。だから自分ではやらずに、引き受けてくれそうな部下に頼む。
それを真に受けて、ほかの大事な仕事を後回しにしてまで必要かどうかわからない資料を作る人を、周囲が評価するかというと、しないと私は思います。
「ムダな仕事を文句を言わずやってくれる人」という認識が生まれるだけです。
まして、自分で引き受けておいてさばききれず、周囲にとばっちりが及んでいたりすれば、評価は下がりこそすれ上がることはありません。
よい評価が得られることを期待して我慢してやっているのなら、できない理由を説明して断った方がいいと考えます。
残り半分、頼む方が重要で緊急の仕事だと考えている場合は、なかなか難しい。
必要ないんじゃないですかとか議論している間にちゃっちゃと作っちゃった方が早いか、と対応してしまうのですが、やってる間に「やっぱりいいや」とか言われるとがっかりしてしまいます。
忙しさをアピールしても評価は上がらない
いつも忙しい忙しいと立ち働いている人がいますが、常に忙しい状態であるということは自分の仕事をコントロールできていないというしるしです。
実際には涼しい顔をして仕事をこなしている人の方が、忙しい忙しいといっている人より仕事量が多かったり成果を出しているというケースも多いです。
木こりのジレンマ
「木こりと旅人」は、よく引き合いに出される話なので、ご存知の方も多いと思います。
旅人が森の中を歩いていると、ひとりの木こりに出会いました。
旅人が見ていると、木こりは一生懸命に木を切っているのですが、なかなか仕事が進みません。
不思議に思ってみてみると、木こりの引いているのこぎりはずいぶん刃こぼれしています。
これでは切れる木も切れないだろうと旅人は木こりに声をかけました。
「木こりさん、そののこぎりは刃こぼれして切れ味が落ちているようだから、少し休みがてら目立てをするか、新しいのこぎりと交換してはどうですか?」
すると汗びっしょりのきこりは旅人に
「ご忠告はありがたいが、わたしは今忙しくてそんなひまはないんだよ」
と答え、再び一心に切れないのこぎりで木を伐り始めました。
そんなバカな、と笑ってしまいますが、あらためて見てみると似たようなことは結構起きています。
時間がない時間がないと言いながら、毎日山のように積み上げた書類の中から必要なものを探しあぐねているとか。
人にやり方を聞くのが嫌で、あるいは自分のやり方が一番正しいと信じて、効率の悪い古いやり方のまま仕事をしているとか。
仕事を増やす人の対処法
ムダとはわかっていても、上司から命じられた仕事を無下に断り続けるわけにはいかないでしょうから、なんらかの対策は必要です。
「念のため」資料はラフを作って提示し、本当に必要になってから細部を詰めるように段階を分ける。
優先順位を確認し、今自分が抱えている仕事の方が優先順位が高ければ後回しにする。
仕事を増やす人は、木こりがのこぎりの目立てをしたがらないように、「仕事を減らすための仕事」をするという選択肢をなかなか思いついてくれません。
そのため、自分で増やした仕事が手に余ってくると、ほかの人に振ることで対処しようとするので、周りの人に悪い影響が及びます。
チームにこういう人が一人いると、流れが滞ってしまうので困ってしまいます。
これをできる限り防ぎたくて、話し合いの機会を持ったとしても、そもそもの考え方・価値観が大きくずれていることもあり、なかなか妥協点を探すのが難しいなと感じています。