ひろしま美術館で開催中の「かこさとしの世界展」に行ってきました。
こどもたちへのかこさんの思いをひしひしと感じ、大人がこれからのこどもたちに何を提供してあげられるだろう、と考えさせられる展覧会でした。
絵本創作の原点
かこさんの絵本創作の原点は、敗戦を経て、これまでの自分、そして大人たちは間違っていた、という深い後悔です。
東大入学後、セツルメント(貧しい人たちの住む地域で、モノではなく知識や技術などソフトの提供を試みる事前活動)に参加し、これは昭和電工に入社して以降も続けられます。
『未来のだるまちゃんへ』という自伝エッセイに、このあたりはくわしく書いてありますが、こうしたボランティア活動の中で作品作りがなされてきたことを、展示から知る人も多いのではないかと思います。
こどもをいかに育んでいくかというかこさんの哲学を深く知ることができる展示です。
こどもとの思い出がよみがえる
ちいさなお子さんも来場していて、だっこされながら「だーまたん!だーまたん!」と、知っているキャラクターを指さしては大きな声で喜んでいるのがとてもほほえましかったです。
その声を聞いているとふいに我が子が小さかった頃のことが思い出され、自分の肩幅よりも大きな絵本を何冊も抱えてよたよた歩いてやってきて、「おかあさん読んで」とリクエストする様子が脳裏に浮かび、涙腺がすっかりゆるんでしまいました。
だるまちゃんやかみなりちゃんのちょっとつり目になった笑顔も、ちいさな子ならではの表情です。当時は気づかなかったいろんなことを再発見して、いとおしさに胸が詰まり、また涙ぐんでしまうのです。
今は声変りをして、ぶっきらぼうになったり、そうかと思えば甘えてきたり、思春期の難しい時期ですが、こどものおかげで、あんなに(大変で)楽しい時間を過ごせたのだなあと、展示を見ながら実感しました。
自然科学の絵本もぜひ
かこさとしといえば、だるまちゃんシリーズやからすのパンやさんなどがすぐに思い浮かびますが、少し大きくなってから、ぜひ自然科学の著書にもふれる機会を作ってあげてほしいなと思います。
今回の展示にもあった、福音館の科学シリーズ(地球・海・宇宙)はほんとうにすばらしいです。
写真撮影スポット
写真撮影可能な展示は、第2会場の奥にあります。
おおきなだるまちゃん。
おしっこちょっぴりもれたろうのヨシタケシンスケさんや、鈴木のりたけさんのサインも入ってます。
ミュージアムショップ
今回はおおがかりな特設ショップはなく、通常通り、美術館入口での販売となっているので、図録などはチケットがなくても購入できます。
いつも購入するクリアファイルやポストカードのほかに、Tシャツがとてもかわいかったので、おすすめです。
会期は8月4日まで。会期中は無休です。
ぜひ足を運んでみてください。
図録はこちら。