フリーランス×お勤めのパラレルワーク→メリット・デメリット

仕事

先日、フリーランス(個人事業主)でもあり、お勤め仕事もしている、私と同じようなパラレルワークをしている方とじっくりお話する機会がありました。

事業の状況や取り組み方、そしてふだんの経理事務や、確定申告・節税対策について、情報交換をしました。
(私も一生懸命勉強しているつもりでしたが、相手の方もとてもアンテナが高くてびっくり!とても勉強になりました)

会社に勤めて得る給与所得が生計を立てるメインの収入で、なおかつ副業もしている、という人はだんだん多くなっていると思いますが、フリーランスで得る収益がメインの収入で、副業としてお勤め仕事をしている、という人はあまりお目にかかりません。

もしいても、なかなかそういう内輪の話をすることはないので、まわりにいるけど知らないだけ、なのかもしれませんが。

自営業×お勤めのパラレルワーク・メリット

フリーランスのお仕事は、自分の腕ひとつで売り上げを伸ばしていくのがとても楽しいのが最大のメリット。
自分の可能性を試せるし、がんばればがんばった分、得る報酬も大きくなります。

お勤め仕事、特に正社員でない場合は、がんばって職場に貢献しても、見合った昇給や待遇アップはなかなか見込めないのが現実です。

その代わり、毎月安定した収入がちゃんと入ってきます。仕事があんまりなくて、ひまな時間が多くても、出勤していた時間分はちゃんともらえる。フリーランスにはない、福利厚生面もありがたいものです。

社会保険・厚生年金

フリーランス一本の場合、通常は国民健康保険・国民年金に加入することになりますが、国保ってすごく高いですよね。

年ごとの収益に波がある業種の場合、前年たくさん稼いだために、翌年の国保の保険料がおそろしいことになり家計の負担になることもあります。

自営業×お勤めの二足のわらじをはいていて、いちばん嬉しいことは、「自営業×お勤め」の収入があっても、勤務先でかけている社会保険の保険料は、給与分にしかかからないというところです。

フリーランスの前年の所得が高かろうが低かろうが、その年に働いている勤務先の契約条件に基づき、社会保険料が決まります。しかも、保険料は雇用主との折半で、自分は半額しか払わなくてもいい。(派遣で働く場合、パーセルパナソニックなどのように、雇用主側が保険料の6割を負担してくれるところもあるようです。)

フリーランスでしっかり稼いでも、勤務先で社会保険に加入できていれば、もらっている給与ぶんの保険料だけ払えばいいので、翌年の国保の保険料の金額を考えてブルブル青ざめることもありません。

社会保険加入の条件は次の通り。

・週の所定労働時間が20時間以上
・賃金月額が月8.8万円以上(年約106万円以上)
・1年以上の勤務が見込まれること
・従業員501名以上の勤務先で働いていること

従業員の多い企業で働く場合は、賃金の月額が8.8万円以上であれば、週20時間の短時間勤務でも社会保険に加入してもらえます。

従業員501名未満の企業の場合は、現時点では、正社員の4分の3の勤務時間があれば社会保険に加入する資格が生じます。

フリーランスの仕事のために、ある程度まとまった時間を確保しながら、社会保険などのメリットを享受しつつお勤めすることで、月々確実に収入を得ることができます

※ただし、社会保険の自己負担という面では、開業届を出して事業をしていると、雇用保険をかけていても失業手当が出ないというデメリットも存在します。(退職の前に廃業届を出して事業を廃業していれば受給資格はある)

組織の中で働く楽しさ

フリーランスとお勤めをかけもちするのは、雇用者として社会保険制度を享受するという目的もありますが、なんといっても、会社という組織の中で働くことが好きだからです。

フリーランスでは、自分の力で工夫して報酬を得ていく楽しさを満喫し、大きな企業ではその一員として、フリーランスでは手掛けることのできない規模の大きなビジネスに関わっていける。

いろんな人がいて、その中でコミュニケーションを取りながら、日々働くのは、大変なこともありますが、とにかくとてもおもしろい。

中にはすごい人がいて、その人からいろんなことを吸収できるのも、いろんな職場で働くメリットのひとつです。

会社によっていろんな文化や習慣があり、実際に入ってみないとわからないことがたくさんあります。そういった、中に入らないとわからないことを知ることができるのも、期間限定で働く非正社員ならではのおもしろさともいえます。

私の場合、フリーランスでは家の中にずっとこもってしまうことになるタイプのお仕事をしています。
引きこもっていても全然苦にならないタイプですが、世の中からじかに受ける刺激がぐっと減ってしまうので、ずっと家にいると、アイデアが枯渇してしまうのではないかという不安もあります。

そういう意味では、世の中、それも、ひとつの企業の内部というとても濃い世界を経験するのは、とてもよい刺激になっているといえます。

自営業×お勤めにはデメリットも

週20時間~というと、1週間のうち、なかなかバカにならないボリュームをお勤め仕事に捧げることになります。
フリーランスの仕事が、じっくりまとまった時間をとってしなければならないものであれば、両立は難しいかもしれません。

勤務先の職場環境というのはほぼギャンブルのようなものなので、どんなに吟味して選んでも、実際入ってみないと、実際のところがわからないということもあります。短時間勤務でもものすごくハードな労働環境だと、本業の方に支障が出てしまう可能性もあります。

ただ、フリーランスってほんとうに不安定なんですよね。
収入状況の不安定さが精神的な不安定も呼び込んでしまう。

そういう意味では、毎日決まった場所に通勤して、職場の仲間と協力しながら働く場所がある、毎月一定の報酬が振り込まれる、というのは、自分の中で命綱のような役目を果たしてくれます。

比較的安定した場所があるからこそ、フリーランスの方でチャレンジができる。
一日に使える時間に制約が生まれ、フリーランスの方で使える時間が有限だからこそ(そもそも時間は有限なものですが)、短い時間に集中して成果を上げることができる。

同時に「安定した仕事」といっても実際にはお勤め仕事は非正規オフィスワーカーなので、勤務先の経営状況によっては、いつ契約終了するかわからない危機感がある。その危機感が自分のビジネスでアクセルを踏ませる動機となっている部分もあります。

制約を活かして事業にテコ入れできるよう、日々努力しています。


いろんなケースがある

これまで出会った自営業×お勤めのパラレルワークをしている人はいろんなケースがあり、「そういう働き方があるのか!」という発見があります。

通年ではオンラインで語学講師、オンシーズンには通訳ガイドでがっつり稼ぎ、それ以外の時期に3ヶ月程度の短期事務派遣をして任意継続で社会保険加入状態をキープ、というケース。

平日夜数回と土曜の午後に会場を借りて習い事教室を開催し、平日昼間はお勤め仕事というケース。

税理士事務所で働きつつ、個人事業主として経営コンサルの仕事もしているケース。

お勤めしながら土日に司会業、というパワフルなケースも。

いろんな形があっていいんだと勇気づけられます。

家族のことを優先せざるを得ない女性だからこそ、柔軟な働き方にチャレンジすることもできるのだなと思います。

正社員×副業は強い

SNSでは、正社員で働いていても副業で副収入を得られる、というものから始まって、この収入バランスをひっくり返してとっととサラリーマンを辞めるのが勝ち組、的な煽りスタイルもときおり見かけます。

このメッセージの訴求ターゲットは主にサラリーマン男性でしょうか。
この手の煽りを見るたびに、(いやいや正社員続けながらフリーで稼ぐのが最強。49歳まで銀行で働き続けた小椋佳を目指そうよ)と思います。

私にとっては、欲しくても手放さなければならなかった正社員というカードを、とりたてて不満もないのに、まだ消耗しているの、といった煽り文句につられて簡単に捨ててしまうのを見るととても残念に思います。まだあのあたりのメソッドを参考にしている人は、早いところ目を覚ました方がいい。

パラレルワークで高まるレジリエンス

正社員ではありませんが、お勤め仕事をしていて感じるのは、フリーランスで一定の収益を生み出せていると、自己肯定感や自己効力感が高まるので、組織の中で働くときにありがちな不毛なことにも、抵抗力が強くなります。
お勤め仕事にありがちなことにたいして、ストレス耐性が上がるのです。

自分を活かせる場所はここ以外にもある」という自信や余裕が、レジリエンスを高めてくれるんですね。

副業を通じて自分で稼ぐ力をつけるのには、こういった効用もあります。

さまざまな制約がある中で、やむにやまれず正社員というカードを手放さざるを得なかった方にこそ、お勤め仕事で得られるメリットを活かしつつ、いいとこどりでガンガン自分のやりたいことをやってほしいです!

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